私好みの新刊 201911月

『ダーウィンの「種の起源」』 サビーナ・ラデヴァ/作・絵  岩波書店

 ダーウィンに関する本は、『ダーウィンが見たもの』(福音館書店)など、今迄に

もたたくさん出ている。

今回は進化に関する絵本の一つとして取り上げてみた。最初に著者からの言葉を

紹介しておく。

 「魅力的な情報があまりにも多すぎて、全部をとりあげることはできませんでし

た。そこで、ビイ―グル号の旅については、ほとんどはぶくことになりました。・・」

とある。

とは言え、ビイ―グル号の旅の影響は多く受けている。地球上にこんなに多様な生

き物がいることを取り上げているのだから。

 まず、いろんな生き物の絵が出る。ここで著者は「進化」という言葉の定義をする。

「地球に生き物がうまれてから、微生物、植物、動物たちは、何百万年という年月

をかけてゆっくりとすがたを変えてきました。その変化の過程は、進化と呼ばれます。」

とある。

 しかし、どのようにして進化していくのかよくわかっていなっかった。そこにダー

ウィンが現れる。この本では、次々といろんな生き物の絵が現れてくる。ダーウィンは、

1831年にビイ―グル号に乗って南アメリカ、オーストラリア、ガラパゴス諸島などを

巡っている。ビイ―グル号の旅でいろんな生き物を見たのだろう。本では、次にウサギ

の場面が出る。一口にウサギと言っても色々いる。背が高いもの、背が低いもの、足の

速いもの、足の遅いもの、色の違うもの・・。種の説明が入る。その次は犬の絵。人間

がいろいろ作りだしたとある。続いて、いろんな鳩の絵。鳩もカワラバトという一つの

種とのこと。次は、一転してある農場の絵。ここでは、人が美しい花、実のなる木、よ

く乳の出る牛を決めて選択をしている。野生の種も変化する。「植物や野生動物の子孫は、

少しずつちがったものが生まれます。」とある。野生の馬や鹿、鳥の絵が出る。次に

「生存競争」が出る。強いものが弱いものを食べる世界だ。「自然界の生存競争では、

環境にもっとも適応したものが勝ち残っていく」とある。まだまだ続くが、最後に人間

の話が少し出る。人間も「進化」「適応」「競争」「自然選択」がある世界なのか。 

20194月刊 2,300

 

『イワシ』 (かがくのとも絵本) 大片忠明/さく   福音館書店

この本は2013年に出ている。著者は標本画の専門家である。魚の絵に迫力がにじみ出

ていて再版されたのだろう。表題はイワシであるが「むれで いきる さかな」とある。

ここが、この本の見どころでもある。まず初めに黒い変な絵が出る。本には

「うみのなかを、おおきな かたまりが うごいています。」とある。

さらに、クローズアップした絵が出る。イワシの一群れだ。さらに、クローズアップさ

れた絵。イワシは、大きく口を開けてプランクトンを食べている。なかなか迫力のある

絵だ。しかし・・・、そこをねらって飛びこむものもいる。コアジサシだ。まんまとコ

アジサシのいい標的だ。空から見るとよく見えるらしい。イワシ一匹いただきだ。群れ

があだになっている。さらに、海には海の捕食者がいる。今度は、イワシをねらってブ

リが追いかけてくる。これでも大変だが、海の中はその程度ではすまない。なにやら黒

い巨大な影、鯨だ。イワシクジラ数匹でイワシを囲む。

「イワシクジラは おおきな くちを あけて イワシの むれに とっしんしました。」

とある。

鯨にかかればイワシの群れはひとたまりもない。 鯨は、何千匹のイワシをひとのみにす

る大食食らいだ。これで、イワシの数はずいぶんと減ってしまった。もう、他の捕食者は

いまいと思いきやなにやら白い網が見える。人間が仕掛けた巻き網漁の網だ。これで、ほ

とんどのイワシはつかまった。残るは、10数匹のイワシになってしまった。でも、残った

イワシはまた他の群れと群れをつくるとのこと、イワシは強い。やがて、群れになったイ

ワシは卵を産む。1匹のメスが何万個も卵を生むとのこと、その卵がプランクトンをいぱ

い食べて、また大きくなっていく。2 3cmにもなるとシラスと呼ばれる魚に成長する。

こうして小魚の餌になったり絶えてしまいそうだが、そうはならない数を保っている。

イワシは数で勝負か。                20194月刊   900

 

                                新刊案内11